東京、杉並で『地主・家主の賃貸オーナー様向け情報サイト』を運営している、『相続・不動産問題の相談室』です。
今回のテーマは社会問題にもなっているテーマです。
空き家について
目次
この空き家問題は首都圏と地方で、問題の論点がまったく違うので分けて考える必要があります。
地方の空き家の特徴として、不動産の資産価値の問題があります。
例えば、「不動産を借りたい」または「買いたい」というニーズが高いエリアなら、収入を得られますので空き家を放置しないはずです。
貸したくても借り手がいない、売りたくても売れない。なので空き家のまま放置されていいる状況だと思います。
では首都圏にある「空き家」はいかがでしょうか。
首都圏の空き家
地方の不動産事情と違い、首都圏の不動産は人口が集まるエリアですので賃貸や売却が可能です。
毎月収益を上げることも一時金を得ることも可能なのに、空き家にしている理由とは?
(A)親が亡くなり、空き家となった実家
(B)経済的メリットは必要ない資産家
(C)経済的メリットは欲しいが、賃貸や売却が出来ない理由がある
空き家解消の解決法
(A)の方にとっては、気持ちが落ち着いたら空き家の解消に動き出すでしょう。
(B)の方には経済面(収益)だけではなく、その他のメリット(逆説的に言うとこのまま放っておくと問題が発生する)がポイントになるはずです。
(例 現金化によるメリットや相続対策の事など)
(C)に方にとっては、やむを得ず空き家を「そのままにしている理由」を解決する方法を提示できれば、空き家解決に動き出す可能性が出てきます。
空き家の解決において、問題なのは(B)と(C)のはずです。
でも、空き家対策セミナーでは「有効活用」や「売却査定」など、空き家の解消が経済的メリットに繋がる内容が多いですが、(B)(C)の方にとって「響く内容」ではないかもしれません。
空き家のままにしている理由
相続・不動産問題に関わってきた経験上、空き家が放置されているケースを理由別に見ると下記1~5に分類されます。
1.認知症問題
2.共有問題
3.借地問題
4.境界問題
5.接道問題
1.所有者が認知症
すでに認知症を発症している場合は売却や賃貸などの契約行為ができない為、やむを得ず「空き家」を放置しているケースです。法律行為をするのであれば「成年後見人制度」を利用する事になりますが、後見人の選定、費用面、手続き面などの負担を考え、空き家をそのまま放置している。
2.共有問題(遺産分割が纏まらない)
相続時に遺産分割が纏まらず、そのままの状態か。又は相続人数名で不動産が共有となっているケースです。
共有者同士の意見が纏まらないと賃貸や売却が出来ません。
共有状態の解消が出来るかがポイントです。
共有解消は過去のブログをご参照)
3.借地問題
借地上の建物が空き家となっているケースです。
借地の場合は、建物を賃貸で貸すことは問題ありませんが、売却や建て替えなどは地主の承諾が必要となります(承諾に伴い承諾料を地主に支払う)
現状のままでは賃貸できないほど老朽化し、建て替えが必要なのに地主が承諾してくれない場合や、借地権を売却したくても地主が承諾してくれないケースです。
借地非訟手続きにて裁判所から許可をもらう方法もありますが、現実的には問題が多い為、地主から承諾を得る事を目指しましょう。
ポイントは地主にメリットある提案ができるかどうかが大きな要素になります。
4.境界問題
隣地と境界線で揉めているようなケースです。
建物を賃貸する事は可能です。
ただし、売却するつもりなら賃貸しません。いったん賃貸すると、選択肢が以下の2つしかなくなるからです。
①投資物件として売却する
②立ち退きして売却する
*最も多いマイホーム目的での売却が出来なくなる
首都圏で不動産を売買する際には、(土地値が高い為)隣地との「境界確認」は必要です。
もし、境界線に争いがあると、場合によっては土地面積が減少する可能性がありますので、相場よりも安くなってしまうのです。
5.接道問題
土地が建築基準法の道路に接していないケースです。
昔建築できたが、今の法律では再建築は出来ない。
一度更地にすると、建築ができない為、土地の固定資産税が数倍UPしてしまうので、建物をそのままにしている。
そのまま賃貸することは可能ですが、(このようなケースは建物が老朽化しているケースがほとんどです)
接道問題を解決する為、隣地から一部土地を譲ってもらう、又は交換する、などで接道条件を満たす必要があります。
解決できる専門家とは
上記1~5の問題は建物が老朽化し、建て替えや売却を考えるタイミングが来た時にクローズアップされます。
どれも大きな問題ですので、そんなに簡単に解決とはなりません。その為、空き家のまま放置されています。
どの問題も所有者または所有者の親族だけで解決するのは難しく、その問題に適した専門家に依頼する必要があるのですが、1は手続きの問題なので、法律家に依頼することで後見人の選任がなされますが、売却できるかどうかは別の論点があります。
4においては土地家屋調査士さんに依頼すれば(時間はかかりますが)土地の筆境は確定できます。問題は残りの2.3.5です。
2,5は誰かと争うような話しではありませんし、3においては地主と争う案件に見えますが、実はそんなに簡単ではないのです。
裁判所を使って建て替えの許可をとっても、建物代金の融資の際に地主の協力が得られない点、売却の際には問題のある(地主と争いのある)物件となるので売却は相当難しくなります。
地主に協力してもらえるように人間関係の構築や地主が納得するような提案力が必要となります。
そして、この2.3.5の問題を積極的に扱う専門家が少ない事も空き家問題の解消が進まない1つの要因となっています。
当社は「専門の業務」という考え方はしていなく、問題を解決する事が「当社の主業務」なのです。
何が問題なのか、どうすれば解決できるのか、その為に必要な専門家は?というように解決に必要な専門家とも連携し、解決へ取り組んでおります。
まとめ
空き家は(「土地」と「建物」)不動産の事象です。
ですが、なぜ空き家のまま放置されているのか、その理由を考えないと解決に進みません。
不動産所有者側においていは、単純に「賃貸、売買、管理」という業務だけでなく、このような「空き家問題に取り組んでいる会社」、「解決できる会社」へ相談することで、解決のヒントが見つかるはずです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
今後も不動産FPとして、地主・家主の賃貸オーナー様向けに、『相続・不動産のお役立ち情報』を発信していまいります。
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